研究内容

 

概要

今世紀に入って実用化されたX線自由電子レーザー(XFEL)は、超高強度、超極短パルスの特性を持つことから、放射線による損傷が顕在化する前の生体高分子構造を観察することが可能です。また、生体高分子が素早く変化し反応を起こす際の動的構造を高い時間・空間分解能で捉えることもできます。我々は、SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)において、蛋白質などの生体高分子をターゲットとして、XFELによる動的構造の取得とその測定技術開発に取り組んでいます。

測定法としては、XFELを用いた結晶構造解析法であるシリアルフェムト秒結晶構造解析(SFX)を主軸とし、光励起など分子反応の開始方法と組み合わせた時分割SFXの技術開発に力を注いでいます。時分割SFXで得られたデータを用いると、分子が機能する様子を原子レベルの動画として可視化することができます。従来の方法では、様々なタイムスケールで素早く変化する原子の動きを可視化することは非常に困難でした。本技術で得られた動的構造情報は、生命科学研究の一層の深化に貢献するだけでなく、新たな機能性分子の設計や創製に役立つことが期待されます。
 
代替文字
 
 
 

自由電子レーザー解説

 

 

高速分子動画法解説

 
 

研究テーマ

 

総説・プロトコール(抜粋)

  1. (総説)Pump-Probe Time-Resolved Serial Femtosecond Crystallography at SACLA: Current Status and Data Collection Strategies
  2. (総説)SACLAにおけるシリアルフェムト秒結晶構造解析の現状と展望
  3. (プロトコール)シリアルフェムト秒結晶構造解析のための試料調製法:バッチ法による微結晶化と高粘度媒体を利用した結晶送液方法について
  4. (総説)XFELによる光受容タンパク質の構造変化の追跡
  5. (総説)X線自由電子レーザーで捉えたバクテリオロドプシン構造変化の三次元動画
 
 

プレスリリース(抜粋)

  1. 光でイオンを輸送する膜タンパク質の巧妙な仕組み-XFELが捉えた光駆動型イオンポンプロドプシンの構造変化-
  2. フェムト秒スケールのタンパク質分子動画 -光で応答するタンパク質の超高速反応の仕組み-
  3. タンパク質中の原子の動き、自由電子レーザーにより動画撮影に成功-光によって水素イオンを輸送する仕組みを解明-
  4. SACLAでの構造解析に必要な結晶の量を数百分の1に-パルス液滴法によるタンパク質微小結晶の構造解析に成功-
  5. 連続フェムト秒結晶構造解析のための結晶供給手法を開発-少量の試料で多様なタンパク質の結晶構造決定がSACLAで可能に-
 
 
ギャラリー